増改築・リフォームで消防用設備はどう変わる?|数値基準と着工前の相談窓口をわかりやすく解説

増改築やリフォームは、用途を変えなければ消防用設備に影響しないと思われがちです。しかし工事の規模や内容によっては、点検区分や設置基準の見直しが必要になる場合があります。本記事では、着工前に確認しておきたい数値基準と相談窓口を整理して解説します。
増改築・リフォーム工事中に消防設備を点検する技術者|コーセイ株式会社

▲ 増改築・リフォームでは消防用設備の見直しも忘れずに確認したい

1. 増改築・リフォームと消防用設備点検の関係性

建物の用途変更がなくても増改築・リフォーム時に消防設備の見直しが必要となる概念図

増改築やリフォームを計画する際、多くのオーナーが最初に相談するのは建築士や工務店です。一方で、消防用設備側の確認までは手が回っていない方が目立ちます。そう考えるオーナーは一定数いるはずです。実際には、工事の規模や内容によって消防用設備の見直しが必要になる場合があります。たとえば、フロアの間仕切りを大きく変更したり、延べ面積を増やしたりする工事が代表例です。静岡県内でもテナント区画のリフォームを機に、初めて気づくオーナーが一定数います。

対象になり得るのは、増床だけではありません。間仕切り変更や内装改修も、消防用設備に影響する場合があります。用途は変わらなくても、建物の防火区画や設備配置が変わるためです。着工前に設備面の影響を把握しておくと、工事後のトラブルを避けやすくなります。把握を怠ると、工事後に消防署から指摘を受ける可能性がある状況です。用途を変える予定がない工事でも、油断はできません。工事の規模によって、確認すべき基準も変わってくるでしょう。

2. 消防用設備の見直しが必要になる工事の目安

消防用設備の見直しが必要かどうかは、建築基準法と消防法それぞれに定められた工事規模の基準で判断が可能です。

建築基準法上の大規模の修繕・大規模の模様替の定義

建築基準法では、建物の主要構造部について過半を修繕する工事を「大規模の修繕」と定めています。同様に、主要構造部の過半を模様替する工事が「大規模の模様替」です。主要構造部とは、壁・柱・梁・屋根・階段など建物を支える部分を指します。「過半」とは、対象となる部分の半分を超える範囲を修繕・模様替する場合を意味する言葉です。リフォームや増改築が大規模の修繕・模様替の規模に達すると、消防用設備の基準にも影響が及びます。工事の設計段階で、該当するかどうかを確認しておくと安心につながります。

消防法施行令第34条の2による増改築の数値基準

消防法施行令第34条の2は、増改築の規模を示す数値基準を定めているとされる条文です。数値基準は、次の2つのいずれかで判断します。

基準の種類 数値の目安
床面積による基準 増改築部分の床面積の合計が1000㎡以上
延べ面積による基準 増改築前の延べ面積の2分の1以上を増改築
消防法施行令第34条の2に基づく床面積1000平米以上・延べ面積2分の1以上の数値基準インフォグラフィック

いずれかに該当すると、既存の建物に認められていた緩和が外れる可能性が高い状況です。施行令の数値基準は全国一律の法令基準であり、地域による違いはありません。現行基準への切り替えにより、増設する設備の仕様が変わるケースも想定されます。工事の規模を確認したうえで、専門業者に相談すると安心です。

3. 間仕切り変更や増床が消防用設備に与える影響

増床や間仕切り変更のように用途を変えない工事であっても、消防用設備の配置に影響が及ぶ場合があるでしょう。代表的な工事内容は、次の3つです。

消防用設備に影響しうる工事の例

  • 間仕切り変更による空間区分の変化
  • フロア増設による床面積の増加
  • 内装改修による建材・仕上げの変更

いずれも用途は変わりませんが、消防用設備の設置状況や配置への影響は避けられません。

感知区域・警戒区域が変わるケース

壁の間仕切り変更前後の比較図。新設壁により未警戒区域が生じ、感知器の追加設置が必要になる例

自動火災報知設備は、天井や壁で区切られた範囲ごとに「警戒区域」を設定して火災を検知します。間仕切りを新設すると、既存の警戒区域や感知器の配置に影響が及ぶ可能性がある点に注意が必要です。間仕切り前の図面だけで判断すると、現地の状況とのずれに気づけません。フロアを増設する場合も、新しく生まれた空間が警戒区域に含まれているかどうかを確認しておく必要があります。詳細な技術基準の運用は、所轄の消防署によって異なるケースが一般的です。工事の前に、専門業者や所轄消防署へ相談しておくと見落としを防げます。

用途を変えない内装改修で確認したい点

防火性能の高い建材への変更も、内装改修に含まれる工事です。建材の種類によっては、内装制限と呼ばれる別のルールが関わってきます。天井の高さや間取りを変える改修でも、感知器や誘導灯の設置位置がずれてしまうケースもあるでしょう。共用部の避難経路にあたる箇所は、内装制限の対象になりやすいとされています。用途は変わらない工事であっても、事前の確認を省略しない方が安心です。迷った場合、工事の設計段階での相談を後回しにするべきではありません。

4. 建築基準法12条点検との関わり

大規模の修繕や大規模の模様替、増築といった工事は、建築基準法12条点検にも関わる場合があります。12条点検は、特定建築物調査や建築設備定期検査などを通じて建物の安全性を定期的に確認する制度です。工事によって建物の構造や設備の状態が変わると、次回の点検で確認される項目が変わる可能性があるとされています。

消防用設備点検と12条点検は、報告先が異なる別の制度です。

制度 報告先
消防用設備点検 消防長または消防署長
建築基準法12条点検 特定行政庁
消防用設備点検(消防署提出)と建築基準法12条点検(特定行政庁提出)の違いと管轄の比較図

たとえば内装改修で防火扉や防火シャッターなど防火設備に手を加える場合は、防火設備検査員による検査区分にも関わってくるでしょう。該当するかどうかの判断は、所轄の特定行政庁へ確認するのが確実です。増改築の内容によっては、両方の点検にまたがる確認が必要になるケースも想定されます。たとえば外壁の全面改修や柱・梁の補強を伴う工事は、大規模の修繕に該当しやすい工事の代表例です。該当する場合は、消防用設備点検とあわせて12条点検の担当窓口にも確認しておくと安心につながります。

5. 増改築・リフォーム時に相談すべき窓口の整理

増改築やリフォームを進める際は、相談先を工事の内容に応じて事前に整理しておくと手戻りを防げるでしょう。

建築士・工務店と消防用設備の専門業者の役割分担

建築士や工務店と、消防用設備の専門業者は、それぞれ別の専門領域を担っています。

担当者 主な役割
建築士・工務店 建物の構造・意匠、施工全体の計画
消防用設備の専門業者 消防用設備の設置基準・点検区分の判断

建築確認申請の許可が下りても、消防用設備側の届出が自動的に完了するわけではありません。建築確認や工事の施工管理と、消防用設備の基準確認は、それぞれ別の専門知識を要する領域です。工務店に依頼していれば消防用設備まで自動的に対応されると考えるのは、誤解といえます。両者の窓口が異なる点を理解しておくと、工事全体の段取りに迷いません。増改築・リフォームの計画段階から、両方の専門家に相談しておくのが理想的です。

着工前に確認しておきたい3つのポイント

着工前に確認しておきたいポイントは、大きく3つあります。

着工前に確認しておきたい3つのポイント

  • 工事の規模が数値基準に近いかどうかの確認
  • 間仕切り変更による設備配置への影響確認
  • 12条点検の対象区分への影響確認

いずれも着工前の確認が済んでいれば、工事後に慌てて対応する必要はありません。後から気づいた場合、工期の見直しや追加の申請対応が必要になる場合があります。工事内容によって優先順位は変わりますが、早い段階で相談しておくと安心です。

6. 増改築・リフォームの相談窓口

増改築やリフォームは、用途を変えない工事でも消防用設備の見直しが必要になる場合があります。特に増改築やリフォームは工程が多く、消防用設備までは意識が及びません。工事の規模や内容によって、確認すべき基準はさまざまです。建築士や工務店との打ち合わせで手一杯になり、消防用設備側の確認まで気が回らない方も多いでしょう。何をどこまで確認すればよいのか、不安に感じる場面もあるのではないでしょうか。

コーセイ株式会社では、修繕改修工事と消防用設備点検の両方についてご相談を承っています。静岡県内の建物・施設を対象に、現地調査から対応まで一貫して任せられる点が強みです。まずはお気軽にお問い合わせください。

増改築・リフォームの消防用設備点検のご相談はコーセイ株式会社へ

増改築やリフォームでは、消防用設備の設置基準・点検区分の見直しが必要になる場合があります。修繕改修工事と消防用設備点検を、静岡県内で一貫してご相談いただけます。
相談・現地確認・お見積もりは完全無料

リフォーム着工前に消防設備の専門業者へ相談し、手戻りのない安心な改修工事を進めるイメージ